仕事をする場所でも旅行先でも、いつでもどこでもパソコンやスマホをインターネットにつなげたい――
そんな願いをかなえてくれるのが、手の平サイズの通信機器、ポケットWi-Fiです。
ポケットWi-Fiサービスはさまざまな会社が提供していて、値段や月額料金はかなり違います。
「結局のところ何円なのか」と感じている人もいるでしょう。
この記事では、各社の料金を比較したうえで、ポケットWi-Fiをお得に利用する方法を紹介します。
ポケットWi-Fiはパソコンやスマホをネットにつなぐ器具
ポケットWi-Fiは、Wi-Fi機能を手軽に利用できる通信機器です。
ポケットWi-Fi機器のことを単に端末と呼ぶこともあります。
自分だけの基地局
Wi-Fi(ワイヤレス・フィデリティ)とは、パソコンやスマホなどをインターネットにつなぐための環境のことで、ユーザーがポケットWi-Fiを持っていればインターネットを利用できます。
ポケットWi-Fiは「自分だけの基地局」のようなものです。
機器を購入して通信の契約を結ぶ必要がある
ポケットWi-Fiを使うには、
- ポケットWi-Fi機器を入手する
- 通信会社と契約(モバイル通信契約)を結ぶ
1)の本体価格と2)の月額料金がポケットWi-Fi会社によって大きく異なるため、購入や契約の前に比較することが重要です。
自宅の工事が不要
自宅や会社事務所に光回線(光ファイバー通信回線)を導入する場合、物理的なケーブルを設置する敷設工事が必要ですが、ポケットWi-Fiを使えば光回線が要らないので工事も不要です。
ポケットWi-Fiの月額料金の相場
ポケットWi-Fiの月額料金は、安い会社で月1,000円台、高い会社では月4,000円台が一般的です。
これだけ大きな価格差が生まれる理由は、ポケットWi-Fi会社によって通信の質が異なるためです。
大容量のデータを高速でやり取りできるプランほど料金が高くなり、逆に通信速度や容量を抑えたプランなら費用は安くなります。
「最高級の通信品質は必要ないが、あまりに低品質では困る」という方は、月3,000円前後のプランがひとつの目安となるでしょう。
人気のポケットWi-Fiの月額料金を比較
それではポケットWi-Fi会社8社の月額料金とデータ容量、サービス内容を紹介していきます。
なお、この章で紹介する内容の概要を一覧表にまとめました。
金額はすべて消費税込みです。
サービス名 | 月額料金 | データ容量 | その他のサービス内容 |
---|---|---|---|
GMOとくとくBB WiMAX | 4,807円 | 無制限 | ポケットWi-Fi機器(原則27,720円)が実質無料 契約の縛りなし |
MUGEN WiFi | 4,750円 | 無制限 | 高速通信プランのデータ容量は月100GB |
どこよりもWiFi | 3,058円 | 月100GB | 37カ月目から月額2,508円になる |
THE WiFi | 3,828円 | 月100GB | FiTプランは利用したデータ容量に応じて月額料金が変動する |
カシモWiMAX | 4,818円 | 無制限 | 契約期間縛りなし 初月は月1,408円 |
AiR-WiFi | 3,245円 | 月100GB | 月20GBプランなら月1,958円 契約期間なし、にするには月330円 |
Broad WiMAX | 4,950円 | 無制限 | 36カ月までは 1)2年契約プランなら月3,773円、 2)契約期間なしプランなら4,378円 |
Rakuten WiFi Pocket Platinum | 3,278円 | 無制限 | 楽天最強プランに加入すると、 ポケットWi-Fi機器(7,980円相当)を1円で購入できる |
GMOとくとくBB WiMAX
GMOとくとくBB WiMAX(以下、とくとくBB)は、GMOインターネットグループ株式会社が運営しています。
とくとくBBの月額料金は4,807円で、この金額でデータ容量無制限で利用できます。
同社は通信速度の具体的な数値は公表していませんが「高速インターネット 動画視聴もサクサク」とPRする一方で、「一定期間内に大量のデータ通信があった場合、混雑する時間帯の通信速度を制限する」と説明しています。
とくとくBBの特典には次のとおりです。
とくとくBBの特典
- ポケットWi-Fi機器(27,720円相当)が実質無料
- 契約の縛りなし
- 他社からの乗り換えで最大2万円キャッシュバック
- 初月のみ月1,375円
ただし、とくとくBBでは、初回のみ事務手数料3,300円がかかります。
契約の縛りについては後段の「『縛りなし』を検討する」と「Q:そもそも『縛り』とは何か」で解説しています。
MUGEN WiFi
MUGEN WiFiは、株式会社FREEDiVEが運営しています。
MUGEN WiFiの代表的なプランは、高速通信プランとデータ容量無制限プランで、いずれも月額4,750円です。
高速通信プランのデータ容量は月100GBとなっています。
MUGEN WiFiのその他のサービスには次のものがあります。
MUGEN WiFiのサービス
- ポケットWi-Fi機器の安心保証オプション、月660円
- データ復旧サービスなどのセーフティーサポート、月980円
- 契約期間の縛り解除、月550円
- 30日間返金保証
MUGEN WiFiの初期手数料は3,300円ですが、利用が6カ月目に入ると支払ったお金が戻ってきます。
どこよりもWiFi
どこよりもWiFiは、株式会社Wizが運営しています。
どこよりもWiFiには複数のプランがありますが、同社がおすすめする月100GBプランは月額3,058円です。
なお、月50GBプランは月2,000円、月20GBプランは月1,500円となっています。
どこよりもWiFiのその他のサービスには次のものがあります。
どこよりもWiFiのサービス
- 37カ月目から月額2,508円になる
- 初期契約解除では解約手数料なし
どこよりもWiFiの初期費用は3,300円です。
THE WiFi
THE WiFiは、スマートモバイルコミュニケーションズ株式会社が運営しています。
THE WiFiのベーシックプランとなる月100GBプランは月3,828円です。
そのほかにFiTプランがあり、これは利用したデータ容量によって月額料金が変わります。
FiTプランでは、月100GB使ってしまうと月3,960円となり、月100GBプランより割高なのですが、月1GB以下なら月1,298円、40GB以下なら月2,596円といったように変動します。
THE WiFiの特典には次のものがあります。
THE WiFiの特典
- 基本料金990円×24カ月(=23,760円)分の割引
- ポケットWi-Fi機器の14,000円相当分のポイントをプレゼント
事務手数料については公式サイトに記載がありませんでした。
カシモWiMAX
カシモWiMAXは、株式会社MEモバイルが運営しています。
カシモWiMAXの月額料金は4,818円で、この金額でデータ容量無制限、契約期間縛りなし(解約金なし)、ポケットWi-Fi機器代金が実質無料となっています。
月額料金は特別安いというわけではありませんが、その他サービスが充実しているといえそうです。
カシモWiMAXの特典は以下のとおりです。
カシモWiMAXの特典
- 初月は月1,408円
- ポケットWi-Fi機器代金について:実質無料になるのは36カ月以上使った場合
カシモWiMAXの事務手数料は3,300円です。
AiR-WiFi
AiR-WiFiは、株式会社FREEDiVEが運営しています。
AiR-WiFiの月100GBプランの月額料金は3,245円です。
月20GBにまで減らすと月1,958円まで値下がりします。
AiR-WiFiのその他のサービスには次のものがあります。
AiR-WiFiのサービス
- 契約期間なし、月330円
- 安心補償オプション、月660円
AiR-WiFiの事務手数料は3,300円です。
Broad WiMAX
Broad WiMAXは、株式会社 Link Lifeが運営しています。
Broad WiMAXの料金体系は複雑です。
データ容量無制限の原則の料金は月4,950円ですが、初月は990円です。
さらに36カ月目までの月額料金は、
- 2年契約プランでは3,773円
- 契約期間なしプランでは4,378円
となっています。
つまり36カ月目までは割引が適用され、その後、原則の料金(月4,950円)になるわけです。
この料金体系では、ユーザーは、長く使うほど割高になる印象を持つかもしれません。
Broad WiMAXの事務手数料は3,300円です。
Rakuten WiFi Pocket Platinum
Rakuten WiFi Pocket Platinum(以下、楽天WiFi)は、楽天モバイル株式会社が運営しています。
楽天WiFiのデータ容量無制限の月額料金は3,278円です。
そのほかに月3GBプラン(月1,078円)、月20GBプラン(月2,178円)もあります。
楽天WiFiの特典には次のとおりです。
楽天WiFiの特典
- 楽天最強プランに加入すると、ポケットWi-Fi機器(7,980円相当)を1円で購入できる
- 楽天市場の買い物ポイントが5倍になる
- クラウドストレージ(データ保存)サービスが50GB分無料
公式サイトに事務手数料の記載はありませんでした。
ポケットWi-Fiはどう選べばいいのか
ポケットWi-Fiの選択を難しいのは、プランの条件と料金が各社でバラバラだからです。
これからポケットWi-Fiを使おうとしている方や、別の会社のポケットWi-Fiに乗り換えたいと思っている人は、自分が最も重視する条件で、各社の料金を比較してはいかがでしょうか。
データ容量で選ぶ
データ容量は多くのユーザーが重視する条件です。
月額料金が安いからといってデータ容量が少ないプランで契約してしまうと、例えば動画を視聴しているときに急に通信速度が遅くなり「視聴ストレス」を感じてしまうでしょう。
動画視聴やゲーム利用が多いユーザーはデータ容量無制限プランを選んでおたいほうが無難です。
通信速度で選ぶ
通信速度も重要な条件です。
通信速度が速いほどインターネットを快適に使うことができ、遅くなるとストレスを感じます。
月額料金は、速いほど高くなり、遅いと安くなります。
ただ最近は、ほとんどのポケットWi-Fi会社が高速通信を導入しているので、契約したデータ容量内での利用であれば通信ストレスを感じることは少ないかもしれません。
したがって問題は、契約したデータ容量を超えてしまったときの通信速度の低下の程度です。
ポケットWi-Fiを契約するときは、どれくらい遅くなるのか確認してみてください。
ポケットWi-Fi機器の代金を検討する
ポケットWi-Fi機器の代金は、以前よりかなり安くなりましたが、それでも高性能機器は高額で利用のハードルになることもあります。
そこでポケットWi-Fi会社のなかには、実質無料でポケットWi-Fi機器を販売しているところもあります。
ただし、長期間利用したときのみ無料にする、という条件になっていることが多いので、月額料金との関係に注意してください。
例えば、ポケットWi-Fi機器が実質無料でも、月額料金が割高となっていてはお得感がありません。
「縛りなし」を検討する
ポケットWi-Fiのプランのなかに「縛りなし」というサービスがあります。
縛りとは解約違約金のことです。
ポケットWi-Fi会社のなかには、Xカ月以上利用すれば解約しても違約金が発生しないが、Yカ月以下で解約すると違約金を課す、という内容にしているところがあります。
一方で縛りなしなら、いつ解約しても違約金が発生しません。
ただし、縛りなし、となっていても月額料金が割高では得にはなりません。
初月無料や長期間割引をチェックする
月額利用料を初月のみ無料にしたり格安にしたりするポケットWi-Fi会社があります。
また、長期間利用すると月額料金が割安になるプランも存在します。
このようなルールは、各社の公式サイトに詳細に書かれているのでチェックするようにしてください。
複数を比較する
ポケットWi-Fiの種類がこれだけ増えてしまうと、複数の会社を比較しないと、最も自分に適したポケットWi-Fiを選ぶことはできないでしょう。
また契約したあとも、さらに良い条件を提示するポケットWi-Fi会社が現れるかもしれないので、各社の公式サイトのチェックは必須といえます。
ポケットWi-Fiを安く使う方法
ポケットWi-Fiを安く使う方法を紹介します。
データ容量を小さくする
最も効果がある方法は、契約するデータ容量を小さくすることです。
ポケットWi-Fi会社のなかには、データ容量が小さいプランの月額料金を極端に安くすることで集客を図っているところもあります。
データ容量が小さいプランを選ぶと高速通信ができる時間が短くなるわけですが、これは「高速通信をそれほど必要としていない人は、データ容量が小さいプランでもよい」と言い換えることができます。
自分が必要とする月のデータ容量を知ることは、安く使うための第一歩となるでしょう。
キャンペーンをフル活用する
ポケットWi-Fiサービスは過当競争にさらされているので、各社がキャンペーンで顧客を獲得しようとしています。
キャンペーンをフル活用することで、実質的な費用負担を減らすことができます。
機器の割引を利用する
ポケットWi-Fiを利用するには、
- ポケットWi-Fi機器の代金
- 通信のための月額料金
の2種類の費用を負担する必要があります。
したがってポケットWi-Fiを安く使いたい人は、1)と2)を合算した金額に着目してください。
ポケットWi-Fi機器を安価に仕入れることができる会社は、ユーザーにポケットWi-Fi機器を安く提供したり、無料で提供したりしています。
レンタルを検討する
ポケットWi-Fiをいつも使うわけではない人は、レンタルを検討してみてはいかがでしょうか。
レンタルの月額料金は、通常契約の月額料金より高額に設定される傾向がありますが、数カ月などの短期間の利用なら、支払い総額でレンタルのほうが割安になることがあります。
それは通常契約の場合、短期間で解約すると違約金が発生する可能性があるからです。
ポケットWi-Fiに関するよくある質問
ポケットWi-Fiに関するよくある質問を、Q&A方式で回答します。
- 失敗しない選び方は?
-
自分の利用方法にマッチしたプランを選べば「失敗した」とは感じないでしょう。
ポケットWi-Fi会社のなかには、例えば、データ容量無制限プランは割高だが、少ないデータ容量プランは激安、といったプラン設計をしているところもあります。
自分の利用方法を確認して、各社のプランをチェックしてみてください。
- 安さを追求してよいのだろうか。いくらが適当か?
-
月額料金の安さを追求しても支障がないのは、あまりインターネットを使わない人です。
「普段は自宅や会社の光回線を使っているから、緊急時に一時的にパソコンをインターネットにつなげればよい」といったニーズを持っている人は、最安プランを選んでもよいかもしれません。
その一方で、インターネットのヘビーユーザーで、その通信の大半をポケットWi-Fiでまかなう場合は、安さよりデータ容量や通信の質で選ぶことをおすすめします。
- そもそも「縛り」とは何か?
-
縛りとは解約違約金のこと、と考えてよいでしょう。
ポケットWi-Fi会社のなかには、短期間で解約したら違約金を課し、長期間利用したあとであれば解約しても違約金は発生しない、というルールにして、ユーザーに長
期利用をうながすところがあります。
短期間だけ試しにポケットWi-Fiを使ってみたい、と考えている人は縛りなしを選んだほうがよいでしょう。
逆に、「このプランの月額料金なら長期に使えそうだ」と感じた人は、縛りありでも大きな不利益は受けないかもしれません。
- データ容量はどれくらいあればよいのか?
-
データ容量100GBのイメージは、大体以下のとおりです。
なおいずれの場合も、1つの項目だけで100GBを使い切ってしまいます。
- ユーチューブ:160~185時間
- ネットフリックス:140~330時間
- スポティファイ:25,000曲
- ZOOM:830時間
まとめ
「自分だけの基地局」であるポケットWi-Fiは、インターネット・ユーザーにとって画期的なサービスといえるでしょう。
日本ではまだまだ街中の無料Wi-Fiスポットが少なく「つながる場所」探しに苦労しますが、ポケットWi-Fiがあればいつでもどこでもつなげることができます。
ポケットWi-Fiサービスは今、過当競争にあり、各社はデータ容量無制限や月額利用料の値下げなどでユーザーを獲得しようとしています。
つまり、これからポケットWi-Fiを使う方や、他社のポケットWi-Fiに乗り換えることを検討している人にとっては、今は最適プランを選ぶチャンスといえるでしょう。